配線ならお任せ男子は今日も女の子の部屋に行く
女の子の苦手なもの。それは「テレビ」とか「パソコン」の配線を繋げる作業。最近の薄型テレビは複雑になっているので、女の子にしてみたら余計わかりにくい構造になっているだろう。そんなとき、俺は召集をかけられるのだ。「ちょっと配線やってくれない?」女友達からそんなメール。いつからか俺は女性専用の「配線奴隷」に成り下がってしまったようだった。きっかけは大学のサークルでそういうポジションだったってことだろうか。「おまえんち電気屋なんだって?」その一言で女子たちから依頼が殺到した。「せっかく上京してインターネットをやろうと思ってるんだけど、配線のつなぎ方がわからなくてさ、助けて!」「うちのもやって、やって。未だにテレビが見れなくてさ」ただの雑用なんだけど、俺は嬉しかったのだ。
女子から必要とされている俺。しかも、同時に複数の女子から頼まれる。俺はすっかり錯覚しちまったんだな。「俺はモテてるんだ!」とね。それからも、依頼は途絶えることがない。最近では男からも頼まれたりするから残念だ。「今のテレビってカードを差さなきゃ見れないわけ?」「そりゃそうだろ」男子に対してだと幾分扱いが雑になる。たまに聞かれるのがこういう質問。「堂々と女子の部屋に入れるわけだろ? なんかいいこととかなかったのかよ?」その質問をされるたびに、ちょっと寂しくなるのはなぜだろう。きっと、「何もハプニングは起こってない」からだろう。「うーん、部屋に下着が干してあった、とか?」「え、そんだけ?」男子のほうもびっくり。逆に、教えてほしいよ、配線だけ繋ぎにきた者が女の子の服をどう脱がすかってことをさ。ある男子はこう提案してきた。「急に抱きしめちゃうのはどう?」「却下」。相手もただの配線をつなぐ業者としか思ってないんだろうな。「あ、でも、お礼として手料理とかご馳走してもらえるよ」「え、そんだけ?」あまりそのリアクションを続けられると、俺のアイデンティティーが崩壊しそうなのでやめてほしい。